Thursday, July 28

魔法


「小さい頃は今よりずっと不思議な世界への扉が近かった気がする」

たとえば次の瞬間、
猫のパッツィーがジジの様にわかる言葉で話しかけてきてもきっと"やっぱりね"と思う。
ある日見慣れない手紙らしきものが届いて、ホグワーツからの迎えの様に魔法の世界が現実になってもそう、やっとかというように嬉しくなると思う。
ともだちが急に"エスパーだ"と告げてきても疑わないし、
信じられないことを知っても信じると思う。
クリスマスに特別なことが起こったり、何かをとても願うとそれは
見ていてくれたどこかに届き、祈りはいつか守られると思っていた。小さい頃からずっと。
だけれどわたしにはエスパーのともだちがいたことはないし、動物とお話したこともない。
特別な力はないし、こころで祈ってはそれだけだった気がする。
今はもう感じられなくなったのではなくて、
小さい頃は、信じることでわくわくしていられたから。
時間を重ねてゆく間に目にした色々なものの中にそれを見て
 "信じることを忘れなければ願いは叶う" 魔法はどこかにあるんだと思ってきた。
不思議な世界への扉は、実は今も変わらず近くにあるもので、その事が重要だと知っていた。
それなのにある時とても必要として祈り、手にかけた瞬間不思議なものでなくなってしまった。
信じて開けたその扉の中に見えたのはとても悲しくなるもので開けても開けても、また開けてみても、現実のじぶんが映るだけだった。
その時願っていたのはどこかの中に見た様な魔法じゃなく、人がつくることのできるしあわせだった。どうしても失ってしまったじぶんと大事なひととの笑顔のこと
どうか今奇跡が起きますようにと願っていた。
けれどやっぱり他の力に祈るだけじゃただ悲しみが増すだけで、
わたしに訪れたのは信じることに疲れて諦めてしまったじぶんだった。
それが初めて知った魔法のこと。なぜだかだんだん、ただ信じ続けるということが難しくなって、そしてそれを忘れてしまおうとした時に魔法はなくなってしまう。
"大人になると信じるこころを忘れてしまう"というけれど、きっと守るべきものを持った大人にしか魔法はつくれない。子供たちに夢のような世界を見せてあげることができるし、
大人たちをきらきらと奇跡の様な情景に連れてゆくこともできる。
魔法って、とてもとても素敵。尊いものだ。
たとえじぶんの中にある夢から離れたくなっても、魔法がない世界では生きてゆけない。
毎日の中で信じることを諦めないように、じぶんの夢をつくってゆきたい。
「夢だけど、夢じゃなかった!」