Saturday, September 11

La première fois

きょうは初めて一人、
映画館で映画を観ました。
上映される3番の部屋に入ると、なんとなく一番端の壁側の席を探していました。
何ともなく、目当ての席へ向かい
まだ真っ黒のスクリーンを見るとふいに、
少し前の夏のことを思い出しました。
それは、
初めて一人で飛行機に乗った時のことです。
長いお別れでも何でもないのに、私は
私をそこまで送ってくれたひとの去ってゆく姿がとても切なくて、
急に一人だと思ったのでした。
一人ということに不安を感じて感情が揺らぐにはとても恥ずかしい年齢だし、
私はたまらずぎりぎりまで
トイレへ駆け込んだままでした。
気持ちを落ち着けた後、搭乗口へ向かったけれど、扉を開けて一歩進む度、整えた気持ちもすぐに乱れ、とても恥ずかしかったのを覚えています。
わたしを見て、何かあったのだろうという表情の人や、どうしたのと心配してくれる人もいました。でも、一番おどろいていたのは私です。
まさかこんな気持ちになるなんて。
私は、それから空の上でも泣き続けて、到着するほんの少し前あたりでやっと眠りました。
実家を離れてから数年、目紛しく色んな思いが交差したけれど、どんな時もわたしはその人の側で、一人でなかったことを思い知らされました。
それは、初めて家族の元を離れ、慣れない土地で一人布団に入った夜よりも切ない気持ちでした。
その人の隣でかわいくないことやむずかしいことが何度も起きた自分のこころにとても悔しくなったのです。
強情でむずかしい私。でも、ひとりじゃ何もできなかったこと、そんなことを思い出しました。
今は、一人新しいことをしてもそれほど何も変わらず、感情が揺らいでは、こうして言葉を綴ることも少なくなって、
ほんの少ししか経っていないのに、私はあの頃欲しかった冷静さを少しだけ手に入れて、淡々としてきた気がします。
あの気持ちでさえ忘れてゆくのかもしれないと思うと、怖くなりました。
不安の気持ちや自分自身の違和感にも慣れてしまって、平気になってゆくのはとても怖いことです。
自分のことや大切にし続けてきたものに鈍感になって、ゆるゆるになってしまわない様に、
忘れかけていた景色や、言葉、思い出、記憶をたどったら宝箱の整理をして、
見つめ直そうと思ったのでした。